日本海軍 400時間の証言 第二回 特攻 やましき沈黙

 NHK「日本海軍 400時間の証言 第二回 特攻 やましき沈黙」を見た感想を書いてみたい。小生の最大の関心は、特攻作戦が誰の発案、命令で行われたかであったが、残念ながら海軍軍令部の中堅幹部の反省会では結局詳細なところは語られず、上からの命令に対して、不条理とは思いながらも、やましき沈黙を決め込んでしまったという懺悔の念が語られるだけであった。
 
 
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  『人の体を兵器代わりにして体当たりする”特攻作戦”。これまで現場将兵の熱意から始まったとだけ伝えられてきた。しかし、海軍反省会のテープは、「神風特別 攻撃隊」の一年以上前から『軍令部』が現場の熱意とは別に、組織的に計画、特攻兵器を作り続けてきたことを赤裸々に語る。さらに『軍令部』の元参謀は「特 攻」はあってはならない作戦と自覚しながらも、その計画を推進してきたことを証言する。』

 海軍軍令部という天皇に直属し、海軍全体の作戦・指揮を統括する立場にいたわけだから、間違いなく誰の発案であったか誰の決裁であったか知りえたはずだが、戦後35年も経って始められた反省会でもなお真実が語られることがなかった。組織優先という大義名分に隠れる自己保身ということだろうか。

反省会自体が座談会の形式であり、何かを検証する、立件するという性格のものではないことから仕方がない一面もあるが、こうやって後世に少しでも証言を残しておこうという意思は評価できるのではないかと思う。

 さて番組は、小貫武デスクの「間違っていると思っていても組織の空気に飲みかまれていく体質は、現在の日本にも通じるものがあるのではないだろうか」という趣旨のコメントで終わる。この部分に共感した視聴者が多いのではないかと思うが、このことについて考えてみたい。

 まず思い起こされるのは、戦後の西ドイツの反ナチ裁判である。西ドイツは、連合国によるニュルンベルク裁判の後、反ナチ化裁判を自らの手によって行った。その結果、ナチス党関係者やヒトラーお抱えの映画監督と言われたレニ・リーフェンシュタールなどが裁かれ、徹底的に再発を防ぐ手立てをとった。

「1945年5月8日のドイツ降伏以後、1990年1月1日までの数字で言うと、ナチ犯罪の被疑者は9万8042名、うち不起訴が8万5408名、従って被告1万2634名中、有罪者6486名、うち死刑12名、終身刑 162名、有期刑6197名、罰金刑 114名、保護監察1名である。」ドイツにおけるナチ犯罪処罰と「罪の個人化」清水正義 http://www.geocities.jp/dasheiligewasser/essay1/essay1-3.htm

 一方で、日本の場合はどうか。東京裁判でA級戦犯の戦争責任や捕虜虐待責任は断罪されたが、特攻作戦や玉砕の責任は問われなかった。連合国にとって見れば極めて不可解な作戦でありしかも自国民に対して行った虐殺行為であることから、その命令責任は連合国から問うことは出来なかったのだろう。

 本来なら代わりに、日本政府による裁判での断罪が必要だったのだろう。

 ところが、特攻隊の生みの親とされた大西瀧治郎中将が終戦直後の8月16日に割腹自殺、第5航空艦隊の司令長官で沖縄への特攻作戦である菊水作戦を指揮した宇垣纏中将が同じ日に特攻爆死(ちなみに一人ではなく、部下の中津留達雄大尉に操縦させている)によって不問とされてきたのではないだろうか。

 即ち、責任者の死(おそらく本当の責任者ではなく実行部隊の)をもって幕引きとされてしまったのではないだろうか。

 その後は、特攻隊や玉砕は美談化され神格化されてしまい、責任が追及されることはなかった。ないばかりか、海軍は、第二復員省なるものを作り東京裁判対策の口裏合わせを行い、旧海軍指導部の極刑を回避させた。また源田実のように、特攻隊戦術の考案者の一人とされるにもかかわらず、戦後参議院議員になり政治の中枢に陣取ったケースもある。

 要は、まったく総括がされていないのである。えせ責任者が腹を切ったら終わりという類のものではないはずだ。中国のように死人の墓をひっくり返してでも断罪する必要はないと思うが、もう少し先を見据えて何が悪かったのか総括しておく必要があったのではないか。このことが、先ほどの小貫デスクのコメントに繋がっていると思う。

 もっとも、これにも先例があった。司馬遼太郎が書いているように、日露戦争の旅順攻略に於いて作戦の稚拙さから一日で一個師団が全滅するような事態を招いたにもかかわらず指揮をした乃木希典大将が戦後、軍神と崇められ、また参謀長の伊地知幸介少将は男爵となったとか。ただこのときは勝ったから良かったものの、この水に流す式思考がこのあたりから続いてきているのではないだろうか。

 この番組を見て中国が、靖国のA級戦犯合祀、参拝を批判するのも多少は理がある気がしてきた。自国民として本来総括しておくべき事、これは対外的にではなくまず自国の後世に対する戒めという意味で、ないがしろにしてきたのではないだろうか。

 田母神論文を契機に日本人が考えるべきこと
 http://fightingfalcon.at.webry.info/200812/article_3.html






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